「今更めでたくもないだろ」

いつものタバコに火を着けて、照れ臭そうに笑う彼は
それでもちょっと、ううん、かなり嬉しそうだった。

テーブルの上にあるのは某有名パティシエ作という
ロールケーキ。
そして、幻の銘酒と名高い芋焼酎。

彼の親友達からの贈り物だった。

「これ、絶対合わねぇよな」
「そうかな。あんこでお酒を飲んでたんなら大丈夫じゃない？」
「お前・・・それいつの話だよ？」

苦笑いしながら、彼は私が買ってきた備前焼のタンブラーに
トクトクと焼酎を注いでいる。

かんぱーい。
たんじょうびおめでとう。

結局ロールケーキを肴に2人で芋焼酎オンザロックを数杯。

すっかり酔っ払った私は、タバコをふかす彼の肩にもたれて
うとうとし始めていた。

Ｈａｐｐｙ　Ｂｉｒｈｔｄａｙ　dear　Only　Love

今夜、1番幸せなのは私かもしれない。